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「肩こり」だと思ったら…首が傾いたまま固まる難病に

Tさん(27)はその症状を肩こりだと思っていた。以前からストレスがたまると首が堅くなって肩がこる癖はあった。しかし今回ばかりはちょっとおかしい。鏡の中で小首かしげている自分の姿は明らかに不自然だ。実は彼の症状、肩こりではなく、「痙性斜頸」という神経の病気だったのだ。

 痙性斜頸とは聞き慣れない病名だ。神経内科が専門で東京・新宿区にある四谷内科院長の横山貴博医師が解説する。

 「何らかの原因で神経系に異常がおき、それによって筋肉が異常に緊張する“ジストニア”という病気があります。痙性斜頸はその一種で、原因の一つとしてストレスがあげられます」

 筋肉が緊張するので軽症のうちは肩こりと間違うことがある。Tさんもまさにその1人。しかし、放置して悪化すると、その病名が示すとおり、首が傾いたまま固まってしまう。たまたまTさんは知り合いに医療関係者がいた。強く勧められて病院を受診したため早期で発見できたことで大事には至らなかったが、知らずにいたら厄介なことになっていたはずだ。

 「難治性であることも多いので、早期であれば内服薬やボツリヌス菌を局所に注射して筋肉の緊張を和らげる治療が行われますが、ひどい場合は手術をすることもある。治療開始が遅れると効果が下がることもあるので、早い段階での診断が望ましい」と横山医師。Tさんの場合は本当にラッキーなケースといってよさそうだ。

 以前小欄で取り上げた「書痙」(手が震えて字が書けなくなる症状)も、このジストニアによるもの。どちらも背景にストレスが介在しているというから穏やかではない。

 特に痙性斜頸は肩こりと間違えるケースが多く、無理なマッサージでかえって首にダメージを与えている人は少なくない。

 「脳梗塞などの脳障害の後遺症や頸椎に問題が生じて似たような症状が出ることもあるが、そうでない場合は診断が難しい。肩こりが長引いたり、首が曲がったまま動かない時は、神経内科で検査すべき」と横山医師。

 借金で首が回らなくなった音楽プロデューサーのTさんも、症状が軽いうちに手を打っておけばよかったのに…。